読書メモ『GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代』(アダム グラント著)

 

GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代 (単行本)

GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代 (単行本)

 

 

以下、※は本書からではなく、僕のメモ、感想。

基本

  • 思考・行動の傾向に関して「ギバー」、「テイカー」、「マッチャー」の3種
  • この3種いずれも、結果的には、ギブ&テイク(Given)になるが、その論理と過程がそれぞれ違う。
  • 会社という環境になると、テイカー、マッチャー指向が強くなる。
  • ※上記は私生活とは全く別のゲームであることに注意する。私生活では会社ほどテイカー、マッチャー指向は強くならない。 

 

三種の違いの基本

1.ギバー
  • 相手の事を考えたGiveすることが目的で、結果としてテイク(実際はGiven)が発生することもある。
  • 過去の事例からパフォーマンスにおいて、最高と最低の両極端化してしまう事がわかっている。(最高=Giveが、将来Givenされる。 最低=テイカーに搾取される一方的なGive)。その為、最低な結果を避けるためには戦略が必要(後述)
  • 援助、責任、社会主義、同情がキーワード

→※上記について、逆にこれを「他人に求める」のがテイカーか。

2.テイカー
  • 「Take」することが目的。
  • テイカー、マッチャーは先を見越してギブをすることがある。ただし、「リターン」が期待できるときのみ。「Give」は「Take」する為の手段

→※返報性の罠(影響力の武器にも同様の記載)→例:テ:上司に恩を売る、マ:同僚とも貸し借りする

  • 自分の評価をいかに「楽に」上げるかが命題。
  • 用心深く、自己防衛的 ※→日系大企業の終身雇用のような環境での戦略か。
  • 他人に頼りすぎると、守りが甘くなると思う時がある
  • アメリカは本質的にはギバーなのだが、こと、アメリカのサラリーマン社会になるとテイカー指向が強くなってしまう。

※→日本の外資勤めのテイカー指向(イメージ)はここからか?

  • 富、権力、快楽、勝利 がキーワード、関心事。

マッチャー
  • バランスシートな人。五分五分であるべきだと考える。ギブが先行すれば、「すぐに」テイクで補完したい。その時間的ズレは少なくしたい
  • 多くの職場ではこの方が大多数をしめる。
※上級ギバー
  • 誰からも競争相手と思われていなく、ワンランク上の人と見られている。
  • 信用を得ているので、大胆で挑戦的なアイデアを出しても周りに認められる。 → 逆にテイカーは権力と脅威でねじ伏せる。
  • 会議では意外と手厳しい。しかし、周りはギバー自身の利益のためだとは一切思っていなく、PJをちゃんとやりたい為の意見という認識がある。

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視点のズレ

  • 心理的・身体的な興奮状態を経験していないとき、人はそれが自分に与える影響をひどく過小評価する。

→例:医者は患者の痛みが実はよくわかっていない

→※自身の体験

  →→結婚以前は、既婚者の苦労を理解していなかった。

  →→看病している時、患者(相手)の痛みを明らかに過小評価していた。

 

※職場において

  • ※苦労しらず、修羅場知らずのの上司は厄介。
  • ※与えられる事に慣れている上司、同僚は厄介なので避ける。

 →→わかりやすい物であること。例:生産性向上/コスト縮小より売上アップ等

 →→こういう相手が共感・評価できるのはデスマのリカバリ等ではない。

  • ※死のGive縮小フロー:1.苦労人ギバー → 2.苦労を経験しているので他人(テイカー/マッチャー)に与える → 3.苦労をしらないので他に与えない → 4.ギブの死
  • テイカーが視点のズレを考慮することはない。
  • ギバーは相手の視点に合わせる。しかし、これを最初から出来る人はそういないので、経験が必要
  • 責任のバイアス :カップルにおいて、お互いに自分の貢献度合いを過大評価する 

→※回避方法:具体化する。相手がどれくらい貢献しているか書き出す。

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テイカ−の見分け方

  • まったく自分へ利益をもたらさない人間への扱いはどうか?
  • 上司に柔順で、部下に支配的。上に媚びへつらうが、下にどう思われようと気にしない。

→※これが上司になると厄介なので、長期的に付き合わない。異動・転職のチャンスを常に念頭に置く。

  • テイカーは「私たち」より「私」一人称を使うことがより多い。
  • Facebook、報告書において、自分のツラがでかい。
  • Facebookの友達数がやたらと多い
  • 人脈・人脈術ばかり語る人  

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つながりについて

  • 弱いつながり ---「橋渡し」。異なるネットワークなので、新しいきっかけが発見しやすい。

→※サラリーマンとしてのつながりとしては、遠すぎても難しいので、遠い昔の元同僚、それほど仲が近くなかった同僚などが良いか。趣味等のつながりはまた別。

 

  • 強いつながり ---「絆」。似通ったネットワークなので、同じタイプの機会を共有することが多い。
  • つながりの効果 --- 将来たすけてくれそうな人が誰かは、必ずしもわからない。だから、量も質も限定すべきでない。 
  • マッチャーは自分の利益を侵害するテイカーに仕返しをしようとするが、寛大に振る舞うギバーにはきちんと報いようとする。
  • 休眠状態の人間関係を復活させるには、「過去の信頼感」が必要。 

→そのため、テイカーだと過去とつながれない。

→マッチャーだと、ギブ・アンド・テイクが前提のため助けを求めることに居心地の悪さを覚える。

→ギバーだと「過去の信頼感」があり、加えてスタンスがゆえ気軽に助けを求められる。

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※長続きしている元カレ、元カノに関する考察
  • 弱いつながり。関係性が断続的に長続きする。
  • 長続きしていないのは、自分がギバーでなかったから or 相手がギバーでなかったから。再度、つながりたいと思うか?
  • 何人の元カノが断続的に続いているか、理由は何かを考える。
  • 逆に続いていないのは、なぜか。

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Giveのやりかた例 (5分間の親切)

  • 5分間で出来る親切なら誰にでもしてあげる。
  • 例:推薦状を書く、Linkedinでレビューを書く、評価するなど。 

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テイカーのよくある罰し方

  • 悪い噂話は広く行き渡り効果的で安上がりな処罰

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チームとスター

  • スターを引き抜いても利益をもたらしにくい。 

→※テイカーである可能性が高いため、知識、経験が組織で横と下に伝搬しにくいのか。

→※労働としてのパフォーマンスと指導力は全く別物。(相反はしない)

 

  • 一方、スターとチームを一緒に引き抜くと利益(成功)を維持できる

→※そのスターは労働と指導力どちらの面でもパフォーマンスがあるギバーのはず。

 

  • ※逆に個人を引き抜く時は、指導力・影響力が唯一評価しやすい指標か?

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※実生活でのテイカーの利用、自分的な応用

テイカーは平均的には良いパフォーマンス(良い社会的地位につく)ので、「つながり方によって」は非常良いかも。

  • テイカーに「返報性の罠」をかける。テイカーといっても、完全テイカーになれる人はそう多くないのでは? それ故、「返報性の罠」が効く可能性があると思う。
  •  →テイカーのピンチを助ける。(逆に言うと、普通の時はテイクされるので、ギブしない)
  •  →むしろ意図的にピンチを作り出す。 例:ニートラップ
  • マイケル・ジョーダンメソッド:テイカーに自分を価値があるものと認めさせる。テイカーは自分の判断を肯定したいために自分に固執する。

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ダイアモンド原石を見つける(部下、周りを開花させる)

  • 成績のよくない生徒の成績を上げるには、生徒が生徒に期待することで上がる。ブルーマーとしてみる。
テイカー
  • 人をほとんど信頼しないため、自己成就予言の機会を与えることができない。
  • 自分に害を与えないか、絶えず警戒している。脅威とみなし、支援しようとも可能性を伸ばそうともしない。
  • 育成のサンクコストに陥りやすい。→マイケル・ジョーダン監督のケース(エゴの防御が原因)
  • うまくいっていない投資にさらに投資してしまう。自分のプライドやメンツを守るため。(エゴの防御)
マッチャー
  • 将来性のある直属の部下や同僚には、上げまし育てようとする。
  • しかし、相手がそれをしめすまでは、何もしない。それゆえ、機会損失がある。
ギバー
  • すべての人の中に可能性を見出そうとする。
  • やる気・根気のある人を見つける
  • やる気・根気がないものにも、それを呼び起こす、植え付ける

 

サンクコストの罠に陥る3つの理由
  • 「後悔の予期」・・この投資にもう一度チャンスを与えなかったことを将来後悔するのではないだろうか。
  • 「計画の完了」・・投資を続けたら、この計画を完了できる
  • 「エゴの防御」・・私が正しかったことを、自分自身にも他人にも認めさせることができるに違いない。低カーはエゴが侵されることに敏感なため、ギバーよりもこれに陥りやすい。
  • ギバーは「エゴの防御」に陥らない

→ギバーは同僚と会社を守ることを第一に考えているので、進んで失敗を認め、柔軟な意思決定の変更が出来る。

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他からの評価に対する反応
  • テイカ−

→自分の判断を否定するような忠告(批判)は受け入れない傾向が強い(※エゴの防御の一種)

 

  • ギバー

→自分の判断を否定するような忠告(批評)でも受け入れる傾向が強い。自分のプライドや評判が打撃を受けることは気にしない。長い目で同僚や会社に与える 

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パワーレス、リーダーシップより影響力

  • 「プラットフォール効果」--- 達人がへますると、高感度が上がる。平凡がへますると高感度が下がる。
話し方
  • ギバー・・ゆるい話し方。「たぶん」「かもしれない」「〜ですよね?」
  • テイカー・・強気な話し方。限定的な話し方
  • それでもリーダーシップを示す必要がある時は、控えめなゆるい話し方はよくない。
  • 面接では強気に話す方がよい。→短い関係では強さが効果的
  • 業務ではゆるく話し、ギバー的にチームを導くのが良い。→長い関係では信頼・やさしさが効果的
  • 人間は自分の時間とエネルギーを割いて、知識や情報を投資して誰かを助けると、相手がそれに値する人だと必死に信じようとする。

→なので、他人に質問・手伝ってもらうことは知識も得るしコネクションも増やす。
→※過去の部下を指導した際の感情


ギバーの防御策

  • 無私無欲に与えることは病気。自分への関心を犠牲にしてはならない。自分の関心を犠牲にすると燃え尽き症候群にかかる。
  • 「いつ」「どこで」「どのように」「誰に」に与えるかを考える。その際自分の利益と関心を見失わない。
  • 他者指向の成功するギバー

他者への関心が高く、自分の利益への関心も高い

 

  • ギバーは自分の利益より他人の利益を優先する傾向が強いので、燃え尽きてしまう事が多い。自分の利益を大事にする。
  • ギバーの燃え尽き原因は、与えたことでもたらされた影響を前向きに認められなかった時。ギブにかける時間とエネルギーが多すぎるためではない。
  • ※例:プロジェクトを円滑にすすめるよう、誰もしない裏方の役割をしたが誰も価値を認めてくれなかった。

→※ギバーのモチベーションは周り(ギブの理解者)の理解度に影響されやすいか。わかりやすい直接的なギブはギバーにとって健康的か。裏方ギブは危険?

 

  • 毎日1つづつギブするより、5日毎に1日5ギブのほうがギバーにとって幸福感を感じやすい。

→*毎週ギブの日を作る。

 

  • 自己犠牲タイプのギバー←→他者志向のギバー
  • 燃え尽き易さ:  自己犠牲タイプのギバー>>>>マッチャー、テイカー=他者志向のギバー
  • 愛想良さ悪さはギバー、テイカーかは全く別物。
  • 優しそう・友好/冷淡・敵対的な印象 これらはすべて愛想に関するもの。ギバー/テイカーとは別物。
  • フレンドリーなテイカー。無愛想なギバーは良くあること。
  • 共感力はギバーの弱みであり武器である。使い方次第。
  • 共感力はGive行為の重要な原動力である一方、人間の大きな弱みの原因でもある。
  • 相手の気持ちを考えるのではなく、相手の考えていることを推察する。相手の利益は何かを洞察することに長けている。
  • 例:テイカ−の利己心に訴えかけるにはどうすればよいかを考える。権力、地位、望み、業績への欲求に訴える。
  • ※テイカーのゴールは地位・権力である。健全な関係にするには、業績を上げるということがテイカーのゴールと結びつくようにする。

→実際には、評価システム・評価者(上司)の評価能力等で、そうはなりにくい。

→テイカーはその穴をつく。成功すると、社内で鬱憤が溜まり、人が離れやすくなる。

  • ※テイカーはゴールが明確。しかし、本人の計画におけるイレギュラーには弱い傾向があると思う。後述の「しっぺ返し」が効く。

 

テイカーとの付き合い

  • 自身をマッチャー化する。最初のみギバーで対応し、「寛大なしっぺ返し」戦略を取る。
  • 「寛大なしっぺ返し」・・→相手が張ってきたら、こちらも張替えす。しかし、3回に1回は張り合わない。
  • テイカーに時間をかけない。

 

ギバーの交渉術

  • 自身のためではなく、他者の為に交渉を頑張る。交渉の際、関係説明をする。
  • 例1:家族を幸せにするため、家族を代理して給料交渉をする。その際、家族を養うために行うと伝える。
  • 例2:チームメンバーのために、待遇改善要求をする。


ギブの輪

ギバー
  • 人の目に付く付かないに関わらず、人の役にたとうとする。
テイカー
  • ひと目に付く場合において役にたとうとする。
  • 結果が非公開の場合などには、あまり協力しない。
  • 役に立った度合いを目に見えるようにする事は、テイカーにとっても都合が良い。

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※自身の生活についてレビュー

自分の周囲にいる「ギバー」「テイカー」「マッチャー」の顔を浮かべてみる。
  • ギバー枠に入ったのは、日本人・外国人の(元)同僚どちらも居た。
  • テイカー枠に入ったのは日本人の(元)同僚のみ。
  • 日系大企業ではテイカーと出会うことが多かった
  • 外資でも同様にテイカーと出会うことが多かった。日系大企業より更に多め。
  • 中小企業では明らかなテイカーには出会わなった。
  • 日本人の方がサラリーマン社会ではテイカー指向が強いと思われる
自分自身はどうか?
  • 同レベルの同僚に対してはマッチャーであった
  • 部下に対してはギバーであった